これからは地球主義が生きる道

昨年は10月23日に中越地震が起き、その被害は日がたつごとに余震も定まらず、さらに12月を過ぎると予想外の積雪のため自然災害がさらに拡がっている。

尚、スマトラ沖地震によるインド大津波事件は当初1万5千人と言われた被害者は日を追うごとに拡大、30万人となり、あらためて津波の恐さを世界が認識した。

ハワイの地震予測センターは津波を感知してニュース発信をしているが、今度の場合、68分後に被害地でニュースを捕捉したが、これが即時に捕捉できていたら多くの人の命が助かったに違いない。情報の重要さをこれ位認識させたことはなかった。

現地ビデオでも現地人が笑って見ている情景が一辺に阿鼻叫喚に変貌していくさまは津波の情報不足の恐さを思い知らされた。天災は避けることが出来ない。特に、一時災害は避けられないが、二次災害は避けることは可能である。地震の際に火事を出すな、一週間は生き残れ、後は救助隊が救ってくれる。一週間分の食物と水、所定場所に用意しとけ、家族、グループの集合地、連絡場所は決めておけ、これを行っておくだけでもセイフテイネットになる。これ以上は天命と割り切る以外ない。地震が何時おきてもおかしくないというマスコミの喧伝のなかで、寝られない人がいて尋ねられたので私が答えたものである。

実は天災が起きると何時も想起するのは南極の越冬隊・西堀順三郎隊長の言葉である。あの南極の厳しいブリザードの中で語った言葉である。「自然は人間を困らすためにブリザード(南極の嵐)を起こしているのではない。自然に戻るために起きているのだ。だから、自然を大切に大事にしなければならない」これ位自然を理解している心はない。

宮沢喜一内閣時代、第一回環境サミットが開催されたが、宮沢総理は国会の事情で出席出来なかったが、それは京都議定書の精神として活かされた。アメリカは企業優位と企業責任論に転化してこれに賛意をしない。人間が生きる環境を如何に大事にするか、西堀隊長の言葉は詩情的でありながら大変重たい。

CO2削減の問題は、地球環境の安全を問うているのでどの国も誰しも承知しながら自我にとらわれて衰亡の道を歩むさまはタイタニック号の悲劇と似ている。

ロシアのプーチン大統領は昨年11月に京都議定書を批准した。KGB出身でありながら政治的感性は大変鋭い、石油のバーレル18ドルが50ドルになったことにより、全ての経済が功利的に動き出し、ロシアに心の余裕が生まれたと観測できる。

シベリヤの資源開発も優位にたてるが、プーチン大統領は放送、石油企業を掌握し今一番油がのっている。チェチェン、ウクライナの取り扱いで傷ついたが、これを乗り越えるパワーを持ったといえる。来日予定のプーチン大統領と北方四島返還の交渉は日本にとって遥かな問題であるが、原理原則を守り抜く以外ない。

資源獲得戦争が激しくなる今日、この問題で凌ぎを削る場合、問題になるのは中国とインドの人口巨大大国である。両国で23億を超える人口の消費するエネルギーはどうなるであろう。各国の生活レベルの進化向上がCO2をはじめ地球環境の劣化につながる事を思うと、地球は一つの実感が生まれてくる。端的に言えば地球は一つしかないのである。これからの日本は世界で初めての被爆国として、地球の平和、地球環境の安全、人類63億の生命を守る。この3つを提唱して、実現に取り組むことが、京都議定書の批准つながることになる。特に、アメリカは国として反対の立場を譲らないが、「問題の本質は地球に優しく」ワシントン条約の本旨と同根・同質の意義を持っているので日本が積極的に説得することが必要である。これは北朝鮮へ国際社会の共通の価値観を理解させる問題と同質の可能性をも含んでいる。

遠い道であっても「地球は一つ」は地球上に存在する192カ国と2000民族の運命に関わる問題であるので説得可能なテーマとして進めることが大切である。スポーツで出来ることが政治・経済・社会で出来ないことはない。民族を救い、地球を救うことに反対はないが、主義、立場は自我を作り唯我独尊に立つことがある。日本も1945年前の軍国主義は同様であった。東ドイツ、ソ連、かつての共産主義は、社会主義国も同様である。歴史は74年間の壮大な歴史の歩みの中でソ連邦の崩壊の事実を実証した。

現存する中国は1991年のソ連邦の崩壊を目にし、社会主義的市場経済に大きく舵取りをし、浮揚を果たした。アジアの大国の変貌はすごい。只、恐竜はエネルギーを自己調達している間は存在することが出来るが、自己調達が出来なくなると破綻の道へと進んでいく。それは軍国主義日本、ナチドイツも同様である。主義は国民を殺し、国も殺すと歴史は冷厳に教える。北朝鮮の道も同じく見えている。それを踏まえて拉致問題も考えなければならない。

終戦から60年を数えるが、1945年は日本にとって20世紀の中間決算である。東京裁判は国際法によりみて違法であるインドのパール博士は明言している。それ位勝者の立場は正義より勝るといえる。

その結果A戦犯7人、BC級戦犯1000人の絞首刑が施行された。日本では太平洋戦争の結末を付けさせられた。一事不再理、一度裁判で刑が確定したものを二度同じ問題で裁判は行わない。これらの家族は60年間大変な辛酸をなめて生きてきた。塚本三郎氏がカレント2月号「死者に鞭打つ国」で中国の姿勢を客観的に踏まえて述べている。

靖国神社参拝問題を中国が出したことは首脳陣の狭隘さと余りにも戦術が露呈してアジアの大国の襟度を落とすものに見える。日本はこれを機会に日本の文化、伝統のあり方をきちんと説明するべきである。赤穂浪士四十七士は法を犯したが、その心情をくみ幕府は切腹による死罪を行い四十七士は死をもって罪を償った。現在に至るまで香華は絶えない。この一事をもっても日本の伝統・文化のあり方が良く分かる。

2005年3月24日

« 迎春

現代社会と人(82) »

▲ このページの先頭へ戻る

カレント経済ノート

内外の 主要経済指標を網羅したビジネスマン必携の「カレント経済ノート」。2013年版は新しいデータを加え、より便利に、使いやすくなりました。ご注文は潮流社、電話またはFAXでどうぞ。1冊1千円、また、特別パック企画として12冊1万円、多部数は別途承ります。
※事前注文で100部以上は表紙にお名前を印刷いたします。

矢野弾のtwitterはこちらから。
矢野弾のtwitterはこちらから。

お問い合わせはこちらから。